2011 Fiscal Year Annual Research Report
視聴覚刺激を用いた時空間知覚表象の体制化に関する研究
Project/Area Number |
21730584
|
Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
宮内 良太 北陸先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助教 (30455852)
|
Keywords | 実験心理学 / 認知科学 / 時空間パターン統合 / 視聴覚統合 / 聴覚的注意 / Tau/Kappa効果 / マルチモーダル時空間マップ / 視聴覚空間定位不斉 |
Research Abstract |
本年度は,昨年度まで検討していた聴覚におけるTau効果が,視覚におけるTau効果と同様の現れ方であるのかを検討するために,聴覚実験で用いたスピーカアレイの上にLEDを設置し,聴覚実験と同じ条件で視覚におけるTau効果の測定を行った。その結果,特に視覚刺激の偏心度が大きくなった場合に異なる傾向が現れた。この原因を解明するために,周辺視野における聴覚刺激,視覚刺激それぞれの定位位置と視聴覚刺激の相対的な位置関係を実験によって測定したところ,視聴覚刺激を全く同じ場所から呈示しているにもかかわらず,定位位置が異なって知覚されていることが分かった。さらに,刺激の偏心度によらず,定位位置の違いを示す主観的等価値がほぼ一定の値を示しており,周辺視野においては,視覚空間と聴覚空間との間にある一定(約5度)のずれが生じることが分かった(視聴覚定位不斉)。この結果は,視野の周辺方向での視聴覚空間知覚を議論する際に,正面方向で多く行われているこれまでの研究成果をそのまま適応することが危険であることを示唆する重要な知見である。ただし,Tau効果に現れた時空間パターンの知覚様相の違いは,この視聴覚定位不斉だけでは説明できないものであり,時空間パターンを統合する際に,視覚と聴覚それぞれでモダリティに固有の知覚的体制化過程が存在することを示している。本課題から得られた,聴覚,視覚それぞれにおける時空間知覚表象の体制化と,それらの違いに関する成果は,異なる時空間体制化を行っている二つのモダリティの知覚表象の統合過程の解明の基礎となる貴重な知見であるといえる。
|
Research Products
(7 results)