2010 Fiscal Year Annual Research Report
脳情報デコーディング技術を用いた3次元知覚情報処理の解明
Project/Area Number |
21730591
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
繁桝 博昭 高知工科大学, 工学部, 講師 (90447855)
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Keywords | 両眼立体視 / fMRI / 神経デコーディング / 3次元構造知覚 / 相対視差 |
Research Abstract |
fMRIで測定した脳活動情報から提示された刺激を推定するデコーディングの手法を用いて,両眼立体視による奥行き処理過程について検討した.両眼視差に選択的な細胞は広範囲に渡っていることがサルの研究により報告されているが,脳の各領野における両眼視差の処理の違いについては未解明な点が多い.本研究では,特に物体内部の奥行き構造の知覚と物体間の奥行き差の知覚の2種類の奥行き知覚の処理が脳内のどの領野で処理されているかを検討するため,デコーディングの正答率を指標とした方法で検討を行った.実験参加者は,左右の2つの物体が異なる奥行きに位置し,かつ,それぞれの面が凸面か凹面の奥行き形状をした刺激を観察した.この時の脳活動をfMRIにより測定し,得られた脳機能画像を視覚皮質領野ごとに機械学習させ,物体内部の奥行き構造および物体間の奥行き差の判別器を生成した.テスト時には学習に用いた刺激と奥行き位置,または奥行き構造が異なる刺激を識別させた.物体間の奥行き差を処理している領野であれば,物体の奥行き構造にかかわらず,手前,奥の奥行き位置に対応した判別をし,物体内の奥行き構造を処理している領野であれば.物体の奥行き位置にかかわらず,凸面,凹面に対応した判別をすると予測される.視覚野ごとにデコーディングの正答率を比較した結果,腹側経路のLOCにおいて物体間の奥行き差に依存せず物体内の奥行き構造に対する成績が高く,腹側経路では両眼視差による物体内部の奥行き構造の処理に関与していることを示唆する結果が得られた.また,奥行き位置の異なる物体による物体内の奥行き構造知覚への影響を心理物理学的手法で検討し,その相互作用が生じるには,物体間および物体内の両眼視差情報が同時に提示されることが必要であることを示した.
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