2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730595
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
近久 幸子 The University of Tokushima, 徳島大学・大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (00452649)
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Keywords | 中枢脂質代謝 / PPARs / 睡眠制御 / AMPK |
Research Abstract |
睡眠制御におけるperoxisome proliferator-activated receptors(PPARs)のリガンド投与の影響が中枢性か末梢性かについて検討するため、ベザフィブラートの脳室内投与を行った。PPARsリガンドは従来脂溶性であるため、これまで中枢に投与することは難しかった。そこで新しく開発された水溶性のベザフィブラートの脳室内投与を行ったところ、ノンレム睡眠期の脳波デルタパワーの増大が認められた。このことから、ベザフィブラート投与による睡眠深度の増強は中枢性の可能性が示唆された。次に、PPARα、PPARγの各選択的リガンドの脳室内投与を行ったところ、脳波デルタパワーの変化は認められなかった。現在PPARδの選択的アゴニストの脳室内投与を行うとともに、各サブタイプの選択的アンタゴニストの投与にを行い、睡眠制御に関わるPPARsのサブタイプの特定を行っている。 また、エネルギー代謝を制御する重要な因子として近年注目されている物質に、視床下部のAMP-activated protein kinase(AMPK)があげられるが、6時間の断眠はマウスの視床下部のAMPKを活性化するとともに、AMPKシグナリングの上流や下流にある遺伝子発現を増大させた。さらにAMPKの阻害薬(Compound C)および、活性化薬(AICAR)をマウスの脳室内に投与したところ、Compound Cはノンレム睡眠時の脳波デルタパワーを減少させるのに対し、AICARはデルタパワーを増大させた。また、Compound CやAICARの脳室内投与は断眠後のリバウンドを抑制した。これらの結果は、中枢における脂質代謝機構が睡眠のホメオスタシス機構と深く関わっていることを示している。なお、この内容についてはNeuropharmacologyに掲載された(Chikahisa et al.,2009)。
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Research Products
(3 results)