2010 Fiscal Year Annual Research Report
相互作用場面における心的用語・自称詞の使用とその機能:他者視点獲得との関連から
Project/Area Number |
21730597
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Research Institution | Jumonji University |
Principal Investigator |
長田 瑞恵 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 准教授 (80348325)
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Keywords | 幼児 / 相互作用 / 心的用語 / 聞き手への影 / 印象形成 / 説明課題 / Big Five / 発達 |
Research Abstract |
本研究では,欲求,感情などのさまざまな心的,内的な状態,過程に言及する心的用語を話し手の幼児が使用するか否かによって,聞き手の大人が影響を受けるのかについて,2つの研究によって検討した。 1.幼児の心的用語の使用が聞き手に与える影響-話し手に対する印象形成の検討- 【方法】被験者女子大学生18名(心的用語無条件8名,心的用語有条件10名).材料と手続(1)刺激提示:被験者には最初にCAT図版「赤ちゃん」を提示しながら,同一の女児(5歳)が2種類の文章を話す映像の一方を提示.映像刺激は条件に応じて心的用語を含むもしくは含まないものであった.(2)発話者の印象評定:刺激提示に続いて映像中の人物の印象についてBig Fiveの性格特徴(和田,1996)に関する項目(60項目)に加え,実験者が追加した11項目,計71項目について7件法で評定するよう指示.【結果】Big Fiveの性格特徴では,心的用語無条件の方が心的用語有条件よりも,神経質な印象を与えていた.さらに,「発達印象得点(得点が高いほど発達の速い印象)」については,心的用語有条件の方が心的用語無条件よりも,より発達の進んだ印象を与えていた. 2.心的用語の使用が聞き手の説明に与える影響 【方法】被験者・材料は研究1と同様。説明課題として,CAT図版「お正月」「病気」図版を1枚ずつ提示し,「先ほどの映像の中の人物に説明するつもりで,できるだけわかりやすく丁寧に」話を作るよう依頼。 【結果】2つの説明課題で用いられた心的用語ののべ語数と異なり語数を,それぞれ被験者ごとに合算した結果,心的用語の有無による違いはなかった。しかし・心的用語有無条件ごとに「発達印象得点」とのべ語数・異なり語数の相関係数を算出したところ・心的用語無条件では両者に関連がなかったが,心的用語有条件では両者に負の相関があり,発達が速い印象が強いほど心的用語数が少なかった。
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Research Products
(3 results)