2010 Fiscal Year Annual Research Report
音楽がもたらす複合的な感性処理:局所的・大域的情報の統合過程の検討
Project/Area Number |
21730602
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
荒生 弘史 広島国際大学, 心理科学部, 講師 (10334640)
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Keywords | 感覚・知覚 / 音楽認知 / 感性 |
Research Abstract |
音楽が日常生活において高い普遍性を持ち浸透していることは、直接的な概念指示の機能は弱いものの、一定の印象や感性を聴取者全般にもたらす点と密接に関わっているものと考えられる。本研究は、その最も基本的なものとして和音による感性情報の処理に関して、単体による協和感(e.g., Plomp & Levelt, 1965)、複数の連なりとしての良さ(e.g., Krumhansl, 1990)の要因を取り上げ、複合的な要因に基づく印象形成過程を検討するものである。本年度の主な成果としては、第一に、和音認知研究において重要な研究手法である和音プライミングに基づく実験成果を、複合的な印象形成過程の観点から解析し、近年の関連研究をレビューしつつ学術論文として取りまとめ専門学術雑誌に投稿した(現在は審査中)。本論文では、典型的な和音プライミング現象においても、複合的な感性情報処理の相互作用が関与している点について実験的検証を行い、従来の知見も合わせて本研究の枠組みにおいて再解釈を行った。第二に、複合的な印象形成過程の電気生理学的背景を検討するための設備を整備し、防音室内での刺激の呈示、脳波データの取得、事象関連電位の分析を一通り行うことができるシステムの構築を進めた。あわせて事象関連電位の分析について、関連の研究者と共同で分析結果を突き合わせ相互の分析システムが十分な精度で分析を行えている点について示唆が得られた。この点の検証から得られた成果については、国際臨床神経生理学会(ICCN2010)において学会発表を行った。
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Research Products
(1 results)