2010 Fiscal Year Annual Research Report
触覚刺激の学習における、脳の可塑的変化に関わる神経基盤に迫る
Project/Area Number |
21730603
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
齋藤 大輔 福井大学, 高エネルギー医学研究センター, 特命講師 (30390701)
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Keywords | 感覚・知覚 / 脳機能イメージング |
Research Abstract |
学習によって、成人後においても脳の基本構造である機能局在性が可塑的に変化する事が明らかになってきている。しかし、この可塑的変化はどの期間・場所・ネットワークで起こるのか、といったメカニズムについてはまだ明らかにされていない。そこで成人健常者を用い、触覚課題を用いた非侵襲的な脳機能の計測を行った。実験に用いるものと同じ触覚刺激について長期にわたる学習・訓練を受けた被験者群(実験群)と、その刺激に全くナイーブな被験者群(対照群)、それぞれに対してfMRIを用いた脳賦活検査を行い、1)触覚課題遂行時の脳血流のMRI信号・2)二群の間での脳領域の大きさを比較するためのVoxel-Based Morphemetry (VBM)解析用のT1強調画像、3)脳神経の走行を調べるためのDiffusion Tensor Imaging (DTI)の計測を行った。これにより、訓練によっておこる触覚認知における神経基盤の可塑的変化を測定した。実験刺激は、点字と麻雀牌を用いたが、点字はどちらの被験者群にも新奇な刺激(コントロール課題)であり、麻雀牌は実験群においてのみ長期に学習を行った刺激(実験課題)となる。その結果、実験群においては、コントロール刺激に比べて実験刺激で、解剖学的な一次視覚野に統計的に有意な活動が見られた。一方、対照群においては、実験刺激による視覚関連領域での活動は見られなかった。また、課題遂行中の神経ネットワークを調べるために、触覚課題遂行中に活動が観察された、体性感覚野・上頭頂小葉・頭頂後頭溝・側頭後頭皮質・一次視覚野に関心領域を設定し、それぞれの領域間の結合を推定を行っている。現在、VBM8 toolbox (SPM8)にて、T1強調画像を灰白質、白質、脳脊髄液にsegmentationし、解剖学的標準化、平滑化を行い、様々な脳領域の群間差を検討している。また、DTIデータについてもBrain VoyagerQXにて解析を行っている。
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