2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730610
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
光本 滋 北海道大学, 大学院・教育学研究院, 助教 (10333585)
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Keywords | 大学ガバナンス / 大学評価 / 国立大学法人 / 公立大学法人 |
Research Abstract |
本研究は、大学ガバナンスの動態に関する実証的な知見を得ることを目的としている。平成22年度は、(1)大学ガバナンスの背景をなす法制の解釈とその運用、非制度的な活動領域を構成する理論の検討、および、(2)比較対象とした英国の事例に関する聴き取り調査を行った。(1)に関しては、(1)法人化後の国立大学のガバナンスに大きな影響を及ぼす評価および組織・業務の改廃と次期中期目標・計画の作成過程に焦点を合わせて、その実態の解明にとりくんだ。評価結果を次期の中期目標・計画の内容および組織・業務の改廃に結びつける手続きを大学の手に確保することは国立大学法人制度の適正な運用の鍵であるとされてきた。だが、中期目標期間の終了と前後して行われた一連の評価、次期目標・計画の策定プロセスはそうしたものとはなっていない。この重要な事実を実証的に明らかにしたことが本研究の基本的な成果である。また、(2)国立大学とは異なるガバナンスの構造をもつ公立大学に関して、全国的な評価の組織と手続き、評価結果の利用方法についての分析を行った。地方独立行政法人法は、教育研究評価に際しては認証評価の結果を「踏まえる」ことと規定している。しかしながら、これまでのケースでは、いずれも結果は時期的にも手続的にも次期中期月標の策定には反映されていない。評価結果を組織・業務の改廃と次期中期目標・計画につなげていくというサイクルは、公立大学法人においても機能していないことが明らかになった。以上、法人化により出現したガバナンスのしくみに関する客観的な検証を行ったことは、他に類を見ない本研究の特徴である。(2)に関しては、(1)参加と教育費負担の増大をすすめつつある英国の実態に関する研究論文を訳出するとともに、(2)2010年の政権交代後、公財政支出の大幅な削減に直面している英国の大学ガバナンスの実態について関係者へのインタビューを行った。
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Research Products
(4 results)