2011 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本における女性の帝国大学進学の実態に関する研究
Project/Area Number |
21730611
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山本 美穂子 北海道大学, 大学文書館, 技術専門職員 (70455583)
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Keywords | 教育史 / 大学史 / 帝国大学 / 女子専門学校 |
Research Abstract |
旧制大学期における帝国大学への女性の進学の全体像を明らかにするため、平成23年度は、第一に、帝国大学(進学先側)としては未見であった九州帝国大学の入学・在学・卒業関係資料の悉皆調査を行った。第二に、女子高等教育機関(出身校側)として、女子専門学校のパイオニアである日本女子大学校に焦点をしぼり、カリキュラム編成・女子総合大学開設運動・同窓会組織「櫻楓会」関係資料の調査を行い、帝国大学への進学者や関係者からの聴き取り調査も行った。 調査の結果、(1)旧制大学期における九州帝国大学理学部・法文学部への正科生(学部学生)としての女性の入学・卒業状況が明らかとなった。それにより、1945年以前に女性の入学を認めていた他の帝国大学4校(東北・北海道・大阪・名古屋)との比較分析が可能となった。(2)1901年開校の日本女子大学校は、東北帝国大学(理学部・法文学部)、九州帝国大学(法文学部)、名古屋帝国大学(理学部)、北海道帝国大学(理学部)へと広く進学者を輩出していたことが明らかになった。(3)北海道帝国大学理学部に入学した女性入学者の最多を占めたのは日本女子大学校出身者であった。日本女子大学校出身者における帝国大学進学意識の形成には、(1)日本女子大学校における女子総合大学開設へ向けたカリキュラム改革と大学昇格頓挫、(2)高学歴な家庭環境、(3)1910~20年代における日本女子大学校出身者からの学士・博士の誕生等が背景として影響を及ぼしていることも明らかにした。 これらの研究調査結果は、従来の女子高等教育史・大学史上の記述をこえて、戦前期における女子専門学校の位置付けと、女子専門学校を前身とする新制大学の成り立ちを再考察する上での指標を与えるものである。
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Research Products
(2 results)