2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730613
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
添田 祥史 北海道教育大学, 教育学部, 講師 (80531087)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 識字 / 物語論 / 成人基礎教育 / ナラティヴ / ストーリー |
Research Abstract |
本研究の目的は、物語論的観点から識字教育論を構築していくことにある。物語論とは、人びとの間で構成される物語としてのナラティヴを読み解くことで、彼らに現前している世界を理解し、その世界への関与を可能にする方法論である。この方法論で識字学習者の語りを読み解いていくことで、新たな学習者理解が拓けてくるだろう。また、「自己とコミュニティの新たな物語の再構築過程」として識字実践を捉えることで、「解放の識字論」との理論的接合も可能になる。そして、なによりも、高齢化が進む識字の現場において、「書くことにこだわると出口が見えなくなる」という切実かつ喫緊の課題を解決する実践的切り口を提供することができるだろう。 4ヶ年計画の最終年度にあたる本年度は、主に研究成果の発信と実践への還元を視野に入れて活動を行った。次の3つを柱に研究を行なった。一つ目は、物語論を基礎に識字教育理論を実践的に論じてきたこれまでの成果を実践者と研究者が集う識字研究交流会の場で報告した点である。大阪で開催されたこの研究会は、国際識字10年の最終年度でもあった今年度において、おそらく国内唯一の識字に特化した研究討議の場であった。二つ目は、これまでの筆者の識字や夜間中学に関する研究成果をふまえて、テキストや事典の執筆に協力することである。社会教育・生涯学習に関する事典への「基礎教育」に関する項目の執筆、生涯学習・社会教育のテキストの分担執筆、本研究で深めてきた物語論的アプローチの知見を社会教育職員論に応用し、実践者向けの論稿を執筆した。三つ目は、本科研の成果をふまえつつ、次のテーマにつなげていくための若手研究者の研究交流会に出席し、日本社会教育学会プロジェクト研究「社会教育研究における方法論の検討」の発足に寄与したことである。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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