2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730623
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
佐藤 博志 Okayama University, 大学院・教育学研究科, 准教授 (80323228)
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Keywords | イギリス / オーストラリア / 学校評価 / 学校改善 / 比較研究 |
Research Abstract |
本研究は,学校第三者評価に関して,イギリスとオーストラリアの比較研究を行い,学校改善につながる第三者評価の在り方を解明することを目的とする。本年度は,イギリスの学校評価の概況およびオーストラリアの教育経営評価の動向について解明することができた。イギリスでは,学校自己評価が重視されており,1990年代に比べて学校の実態および自律性が尊重されるようになってきた。しかしながら,到達目標が厳格なことから,特に不利な立場にある地域の学校では,学校評価が厳しすぎるとの意見が出されるようになってきた。そのデメリットとして、校長の候補者不足の問題が起こっている。一方、オーストラリアでは、州レベルでは、学校のニーズに応じた学校評価が実施されている。その歴史は約15年あり、教育界に定着している。学校改善に役立っている。しかし、2010年1月から、連邦政府の主導により、各学校の背景・学校経営計画・学力等のデータがオンラインで公表されるようになった。その影響は、まだ時間が経過していないため、明らかにすることができないが、今後の研究課題としてきわめて重要であろう。ブライアン・コールドウェル(Brian Caldwell)教授は「オーストラリアはイングランドの最も悪い点である全国学力テストとリーグ・テーブル(順位表)を模倣している」「義務的なテストは段階的に廃止すべきである。フィンランドのように,テストを上手に活用する力量を教育専門家の間に確立すべきである」と述べている("Strategic Commentary on Policy in Education : A Failing Grade for the Education Revolution", Educational Transformations, 2 November, 2009)。次年度は,このような指摘をふまえて,比較研究を進める所存である。このような研究はこれまで日本では全く行われておらず,意義が認められる。学校改善に役立つ学校評価の在り方を解明することによって,学術的・実践的に大きな示唆を与えることができるだろう。
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Research Products
(2 results)