2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730623
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
佐藤 博志 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (80323228)
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Keywords | オーストラリア / イギリス / 第三者評価 / 学校評価 / 学校改善 |
Research Abstract |
本年度は,オーストラリアとイギリスの学校第三者評価のシステムについて文献研究と事例研究を行った。この研究から次のことが明らかになった。第一に,オーストラリアとイギリスでは,退職校長,地方教育行政前職員,研究者が第三者評価者に任命されている。オーストラリアでは、評価者の能力は比較的高いが、イギリスではばらつきがある。第二に,第三者評価の手順は,評価者の事前調査,学校訪問調査・視察・協議会,事後の勧告書の作成と送付である。この点、イギリスの方が厳格に行っている。第三に,オーストラリアでは、第三者評価報告書は学校側の意見を考慮して作成されている。しかし、イギリスではさほど考慮されていない。第四に,第三者評価システムは,学校改善を促すという長所がある。しかし、オーストラリアではマンネリ化、イギリスでは厳格すぎるという課題も残されている。第五に,オーストラリアでは、第三者評価の基盤に,子どもの学びと教育専門家の成長を教育経営の中心に位置づける考え方が存在いている。一方、イギリスでは、市場原理と品質保証の思想が基盤にある。このような意義と課題を持つオーストラリアの学校第三者評価であるが,一方で,最近,新たな動向が生じていることが,研究を進める過程で明らかになった。オーストラリアでは、連邦政府の主導により,各学校の全国学力テスト結果が公表されている。この結果,テスト対策にシフトする学校も現れており,同時に,学校の序列化が危惧されている。イギリスでは、キャメロン政権によって教育予算の削減、および学校第三者評価機関の縮小が企図されている。こうした動向が,第三者評価の在り方に今後大きく影響していくことが予想される。
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Research Products
(3 results)