2011 Fiscal Year Annual Research Report
欧州生涯学習機関における若者の就労安定化に向けた動機づけのあり方に関する研究
Project/Area Number |
21730627
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
鈴木 尚子 徳島大学, 大学開放実践センター, 准教授 (00452657)
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Keywords | 欧州 / 若年者 / 支援事業 / 生涯学習 / 動機づけ |
Research Abstract |
平成23年度は、アイルランドとラトヴィアにおいて現地調査を実施するとともに、欧州全体の動向を踏まえ、本研究の総括を試みた。 アイルランドでは、平成23年5月中旬に、Foroige及びInspireと呼ばれる若年者支援機関を訪問し、各種のプログラムの中でも、とりわけ若者の動機づけに直接的あるいは間接的に携わっている成人の役割に注目して考察を行った。25歳以下の若者が国民全体のおよそ1/3を占め、EUの中でも国民の平均年齢が最も若いアイルランドでは、若者の自発性を尊重しつつも、地域社会の多様な経歴を持つ人々による教育力を活かした様々なプログラムが数多くの任意団体によって提供されている。同国では、こうした周囲の年長者からの支援を通じ、若年者が豊かな人間性や社会性を身につけ、前向きに自らの将来を思い描く中で、自分たちのさらに珠世代を支援したいという気持ちに駆られる、といった好循環が発生していた。 ラトヴィアでは、平成23年12月中旬にツェーシスと呼ばれる自治体の管轄する成人教育センターを訪問し、当地で行われている若年者支援事業を調査した。同センターでは、同国の長引く経済不況により、現状ではEUから財政支援のある多国間交流事業を中心とした支援活動が行われている。参加している若年者の中には長期失業者も少なくないが、彼ら一人ひとりが本来持つ無限の可能性を引出せるよう、メンターによるきめ細かで綿密な支援が行われている。また、地域の公的成人教育機関が彼らの"居場所"づくりを担うことにより、若者に"地域社会への所属意識"や"安心感"を与えていることにも特徴が見出せた。 調査の過程においては、研究成果を部分的に日本及び欧州で発表した。また、調査終了後には、所属機関において、「欧州における若年者支援の現状と課題-生涯学習の機会をいかに若者の社会参加へとつなげていくことができるのか?-」と題する公開講座を実施(平成24年1-2月)し、研究成果を地域社会へ還元することに努めた。
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