2009 Fiscal Year Annual Research Report
国・自治体における行政の「総合化」が教育政策に与えた影響に関する実証的研究
Project/Area Number |
21730629
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
村上 祐介 Japan Women's University, 人間社会学部, 准教授 (00423434)
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Keywords | 地方教育行政 / 自治体行政 / 首長 / 教育長 / 教育委員会制度 / 地方分権改革 / 合理的選択制度論 / 社会教育 |
Research Abstract |
本年度は,国・自治体における行政の総合化が起こった背景とその影響を,理論・実証の両面から検証した。 国レベルについては,政治・行政の「中央化」が教育改革のスピードを速めた反面,教育政策の安定性・継続性を失わせたことを,拒否権プレイヤー論などの理論から説明した。また,1980年代の教育委員会制度改革を素材として,教育行政の強い縦割り集権構造の源泉とされてきた教委制度改革においても,他省庁(他の政策共同体)との調整が不可欠であることを明らかにした。 自治体レベルでは,第1に教育行政の制度原理に関する研究のレビューを行い,教育行政の一般行政からの独立に関する分析が今後より必要であることを明らかにした。第2に,地方分権改革以後の首長と教育長の関係について,研究代表者が以前実施した質問紙調査をもとに検討した。その結果,教育長は首長と密接な連携・協力の下で教育政策の立案・実施にあたっており,その点で既に総合化が進んでいるといえる状況であることがわかった。第3に,社会教育に関しての論点と研究課題を指摘した。社会教育は一般行政からの独立に関して多くの課題があること,教育政策の中でもより総合化が進んだ領域であること,また教育委員会制度が存在することにどのような意味があるのかを実証的に分析することが重要であることを指摘した。最後に第4として,2009年の政権交代を受けて,今後の自治体教育行政と教育委員会制度の在り方について理論的な検討と含意を提示した。合理的選択制度論からは,今後の二大政党制の動態と自治体首長選挙のゆくえが教育委員会制度改革にとって非常に重要であることを指摘した。
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Research Products
(11 results)