2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730637
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Research Institution | Sapporo Gakuin University |
Principal Investigator |
藤野 友紀 札幌学院大学, 人文学部, 准教授 (60322781)
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Keywords | 幼児 / 遊び / 共同性 / 保育 / 参与観察 |
Research Abstract |
本研究の目的は、保育場面への参与観察と相互行為分析をとおして、2~3歳児の想像的遊び活動における共同性の組織化過程を明らかにすることであった。特に、幼児が想像世界における自らの経験を他者と共有するに至るプロセスを描くこと、想像的遊びの芽生えの時期における思考と情動の関係を検討することをめざした。 まず2歳前半児と2歳後半児では他者との想像的遊び活動に違いが見られた。具体的には2歳後半頃から、1)[怖い外界-安全な家の中]といった二元的で単純なものに限られはするが、場に与えられた想像上の意味を他者と共有して遊ぶようになる、2)鬼やオオカミなどの象徴的存在に対して怖れを抱くようになる一方で、遊びの中ではその役割を交替しながら[追う-追われる]という関係を他者との間で楽しむようになることがわかった。これらの遊びは、保育者の支えで想像的世界を維持し多人数で動作や情動を共有するというものから始まり、3歳頃からは保育者の支えがない個別の自由遊びの中で子どもたちによってそれが自然発生的に再現されるという経過をたどった。また、これらの遊びが生起し継続していく上で、個々の場面や行為や役割に特有のメロディやリズム、特有の身ぶりや姿勢の相互模倣がしばしば機能していたのだが、それは1歳後半頃から伝統行事や絵本などの文化的媒介を活用しながら毎日の遊びの中で保育者が繰り返し導入してきたものであることが確認された。
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