2009 Fiscal Year Annual Research Report
コミュニティを基盤とした社会教育・成人教育制度成立史に関する日英比較研究
Project/Area Number |
21730639
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Research Institution | Hirosaki Gakuin University |
Principal Investigator |
関 直規 Hirosaki Gakuin University, 文学部, 准教授 (50405106)
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Keywords | ロンドン学務委員会 / ロンドン・カウンティ・カウンシル / ウィメンズ・インスティテュート / リテラリー・インスティテュート / メンズ・インスティテュート / 成人・コミュニティ教育 / 夜間教育 / 比較社会教育史 |
Research Abstract |
日本の社会教育を「成人・コミュニティ教育」と国際的文脈において把握し、また、英国の地方教育当局の成人教育を、"adult and community education"と規定する今日的動向の中で、年齢、性別、障害、階級等を問わず、生涯学習へのアクセスを保障する、地域性と共同性を志向するコミュニティを基盤とした社会教育・成人教育制度の成立過程を解明する基礎的作業は、重要な課題になっている。本研究のねらいは、両国内で、初めてこの分野の本格的な開拓を試みた、という点で注目される、東京市とロンドン教育当局の事例を、日英公文書館等が所蔵する一次資料の検討から比較考察し、その共通性と相違点を併せて明らかにすることである。 ロンドン学務委員会及びその後継のロンドン・カウンティ・カウンシルが開発した代表的な成人教育事業は、(1)ウィメンズ・インスティテュート、(2)リテラリー・インスティテュート及び(3)メンズ・インスティテュートの三つであった。本年度は、大英図書館、ロンドン公文書館、英国公文書館が所蔵する一次資料を重点的に調査、収集、目録化し、三つの事業の検討を始めた。個々の資料の情報量は限られているが、それらを相互に参照・分析することによって、ロンドンの成人教育制度の成立過程を明らかにすることができる。特に、ロンドン教育行政の夜間教育改革資料、特色ある成人教育機関に着目した教育院の調査レポート、現場の関係者による活動報告等を中心に考察を進めている。 今後、引き続きロンドンの事例を検証しながら、その研究成果を土台に、同時代の東京市の社会教育の動向と比較考察を行いたい。こうした作業は、東京市の事例の普遍的な性格を明らかにし、現代社会教育概念の再構築につながる、と考える。
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