2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730652
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Research Institution | Konan Women's University |
Principal Investigator |
伊藤 実歩子 Konan Women's University, 人間科学部, 准教授 (30411846)
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Keywords | 学力向上 / 教育スタンダード / スタンダードテスト / ドイツ語圏 / オーストリア |
Research Abstract |
本年度は、オーストリアでのPISAショックの実態およびそれへの対応策としての学力向上政策の調査また教育現場での実態を主に調査・研究した。その成果は、論文「オーストリアの教育スタンダード導入に関する一考察」(教育目標・評価学会紀要第19号)として同国の現在の学力向上政策の動向をまとめることができた。 同論文では、教育大国を自認してきたドイツおよびオーストリアのPISAショックの実態を明らかにし、その対応策としての教育スタンダードとスタンダードテストの導入の実態をまとめた。またこの政策を批判的に検討することで、PISAかもたらした教育実践への影響を考察した。学力向上政策としての教育スタンダードが、子どもたちの学力の実態をとらえるようた機能を持っていないこと、しかしながら、PISAは教育実践を標準化していく大きな影響を持っていること、それがテスト文化のないドイツ語圏においては問題視されている分岐型の教育制度を変えることなく、テストを伴う教育実践への変容というインパクトをもたらしたことなどを指摘した。これらの実態が、ドイツやスイスでも見られるのか、ドイツ語圏の中での共通性と相違を今後は検討しなければならないだろう。 本年度は本研究の初年度に当たるため、申請者がこれまで親しんできたオーストリアの状况を中心に研究を進める計画をしていたため、上記論文の発表後、ウィーンでの資料収集および学校見学・インタビューを行い、現在の動向を調査することができた。その成果は、2010年度に学会発表や論文投稿で明らかにしたい。
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Research Products
(3 results)