2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730652
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Research Institution | Konan Women's University |
Principal Investigator |
伊藤 実歩子 甲南女子大学, 人間科学部, 准教授 (30411846)
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Keywords | 教育スタンダード / ドイツ語圏 / オーストリア / スタンダードテスト |
Research Abstract |
平成23年度は、本研究の最終年度に当たるため、これまでの課題を包括する研究を行った。また、以下の通り、積極的に学会発表を行い、その成果を社会に問うことができたと考えている。 まず、オーストリアの教育スタンダード導入に伴う、学校現場でのテストの増加という現象に着目し、PISA以降の同国の教育文化がテスト文化を移入する移行期にあることを明らかにした。またそれは同様の政策を採るドイツ語圏で共通して見られる「教育パラダイムの転換」であることも指摘した(日本カリキュラム学会発表)。 次に、オーストリアでは教育スタンダードの導入だけでなく、これまで長く教育の争点となってきた分岐型の教育制度の改革に着手していることに着目した。この改革もまたPISA結果の影響を大きく受けたものであることが明らかである(日本教育方法学会発表)。 最後にドイツ・スイス・オーストリアの2000年以降の教育改革の動向を、教育スタンダードという学力向上政策に焦点化して総括する作業を行った。ドイツ語圏では、PISA以降、教育スタンダードの導入を中心に義務教育改革を行ってきていることに最大の共通点と特徴がある。一方で、三カ国の教育スタンダードを詳細に検討した結果、その目的や内容に相違点が認められた。ただし、いずれにせよ、PISA結果の影響を強く受け、この間の教育改革が進められていることは明らかで、その受け止め方、すなわち、教育スタンダードの内容や評価の方法に見られる相違が、今後のそれぞれの国のスタンスの違いを際立たせていくと考えられる(日本教育学会発表)。
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Research Products
(4 results)