2009 Fiscal Year Annual Research Report
1歳児保育の質と保育者の実践知に関するフィールド調査研究
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21730654
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Research Institution | Shikoku Gakuin University |
Principal Investigator |
藤本 松香 (古賀 松香) Shikoku Gakuin University, 社会福祉学部, 准教授 (70412418)
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Keywords | 1歳児保育 / 乳児保育 / 保育の質 / 構造の質 / プロセスの質 / 児童福祉施設最低基準 |
Research Abstract |
本年度は、1歳児保育の質についてアンケート調査を行った。まず、アンケート調査内容を検討するために、保育所施設長・主任・1歳児クラス担当者を対象とした半構造化面接による聞き取り調査を行った。その結果、1歳児保育について、(1)1歳児の発達的特徴(自我の芽生え、言葉の未発達、月齢差等)から個別援助の必要性が高いこと、(2)現代の子どもの変容(アレルギー、情緒不安定な子どもの増加等)や家庭の変容により援助の必要性の高い子どもと保護者が増加していること、(3)保育士職の大変さや保育士不足感、(4)児童福祉施設最低基準見直しの必要性、(5)1歳児保育の重要ポイントと現場の工夫(担当制等)、(6)トラブルとその要因、(7)保育不全感、といった事柄が語られた。保育士は子ども-人ひとりに丁寧な対応をしたいというプロセスの質に対する願いを持ちながら、児童福祉施設最低基準に定められている保育士1:子ども6という構造的な質の問題から、「十分な保育ができない」という保育不全感を抱いていた。この結果については日本保育学会にて発表予定としてすでに投稿済みである。この聞き取り調査の結果をもとに、1歳児保育にかかわる構造の質とプロセスの質についてアンケート調査項目を作成し、予備調査を行った。その後、項目の修正等を行い、香川県下全保育所を対象としたアンケート調査を実施した。合計210施設に配布し、165施設より返送があった(回収率78.6%)。1歳児クラスの数と同数回答してもらう形式で配布したため、有効回答数は212であった。そのアンケートの集計、分析を構造の質とプロセスの質を観点として行った。調査結果の詳細については論文投稿予定である。また、アンケート調査時に22年度の観察研究への協力を依頼したところ、48施設より協力の申し出があったので、協力申し出施設にて引き続き1歳児保育の質についての調査を行っていく。
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