2011 Fiscal Year Annual Research Report
第二次世界大戦前における日本とタイの子どもの交流に関する研究
Project/Area Number |
21730659
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Research Institution | 中村学園大学短期大学部 |
Principal Investigator |
圓入 智仁 中村学園大学短期大学部, 幼児保育学科, 准教授 (00413617)
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Keywords | 教育学 / タイ / 子ども / 国際交流 |
Research Abstract |
(1)1929(昭和4)年にタイの子どもの組織「ルークスア」に所属する子どもと指導者が日本を訪問した際の記録を翻訳した。彼らの帰国後、指導者の1人がタイ教員協会で訪日の講演をした記録の翻訳である。この年の7月末、ルークスア一行は神戸に上陸した。大阪、奈良、京都、名古屋で子どもたちと交流し、神社仏閣の観光や工場の見学などをした。次いで東京に移動し、官公庁や新聞社などを訪問した。山梨で開催中の少年団日本連盟の合同野営にも参加した。東京に戻り横須賀で軍艦見学などをした後、横浜港から帰国した。随所に交流の様子や、日本の文化や産業に関する感想が述べられており、当時の日本を知る上でも興味深い。 (2)1935(昭和10)年にタイから日本に2頭の象が贈られた経緯について、両国の公文書に基づいて分析し、日本社会教育学会で口頭発表した。象を寄贈した経緯、日本での象の飼育に関する批判的な新聞報道、象の寄贈に対する日本からの返礼の打診に関するタイの態度などを検討し、象の寄贈によってルークスアが日本の少年団との友好関係の維持を期待していたことを明らかにした。 (3)日本の少年団に対する軍部の評価を明らかにするため、海軍の史料に基づいて検討し、論文として発表した。具体的には、1925(大正14)年に京都の舞鶴から福岡の西戸崎を経由して神奈川の横須賀まで輸送艦高崎に便乗した海洋少年団に対する、乗り組み士官による評価である。当該士官は海洋少年団が富裕層の子弟の集団で規律が不十分であるなどと指摘し、退役海軍軍人である少年団の指導者を親切丁寧、子ども好きなどと見ていた。海洋少年団員の選考、年齢相応の訓練、海軍への接続などに関する提案もあった。 以上の研究成果は、日本とタイの交流史研究、日本の動物園史研究に寄与する。当時の海軍による少年団に対する評価に関する検討を含めて、日本の少年団史研究にも貢献する。
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Research Products
(3 results)