現代日本のおける「教育ローン」「学資保険」に関する多角的・実証的研究

2010 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 21730663
• Research Institution: Chiba University
• Principal Investigator: 白川 優治 千葉大学, 普遍教育センター, 助教 (50434254)
• Keywords: 教育ローン / 奨学金制度 / 教育費 / 学費支援

Research Abstract

本研究は、これまで申請者が進めてきた日本学生支援機構の奨学金事業に対する分析・研究を前提に、現代日本において奨学金制度・政策に類似し、教育費支援を目的とする制度・事業である、(1)日本政策金融公庫(旧国民生活金融公庫)等による「国の教育ローン」、(2)民間銀行等による「教育ローン」、(3)生命保険会社等による「学資保険」、を研究の対象とし、(4)これらを奨学金制度と比較することを通じて、それぞれの意義や特徴を再検証するものである。平成22年度は、民間金融機関(都市銀行、信託銀行、地方銀行、第二地方銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、農業協同組合等)を対象に、ディスクロージャー誌・パンフレット等の提供を求める資料提供依頼調査を実施し、各機関から提供された資料を整理・分析することを通じて個別機関単位の情報を累積することによって、教育ローン等の現状を実証的に分析することを試みた。そして、その結果に基づいて民間金融機関による教育ローン等と日本学生支援機構の奨学金制度と比較することにより、教育費支援を目的とする両制度の特徴を検討した。その結果、日本学生支援機構奨学金についてはその制度が持つ、無利子もしくは低利での有利子貸与・長期返済期間・優秀な大学院生を対象とする特別返済免除制度の存在という「奨学金」としての特性を再評価できることを検討した。他方、各種制度の貸与基準や貸与条件などが異なる教育費支援の金融制度が多元的に存在することによって、多様な教育費支援ニーズに対応できている可能性を検討した。