2010 Fiscal Year Annual Research Report
高等教育の市場化と多文化化の相互作用に関する研究―イスラームの承認をめぐって―
Project/Area Number |
21730667
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
岸田 由美 金沢大学, 機械工学系, 准教授 (80334754)
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Keywords | 高等教育 / 留学生 / イスラーム / 宗教的多様性 / 日本 / オーストラリア |
Research Abstract |
今年度は,イスラーム圏からの留学生獲得や受入環境整備への国内外の動向把握のための関連会議出席や文献研究,オーストラリアにおける現地調査を行った。 留学生教育関係者が集まる国際会議のうち,北米のNAFSA大会については今年度参加を見送りプログラムを取り寄せてセッション内容の確認を行った。結果関連セッション数の極端な減少が観察されたため,一時的なものなのかどうか,関心の低下であるならばその要因は何か,2011年大会に参加し観察する予定である。ヨーロッパのEAIE大会に初めて参加し情報収集したところ,ムスリムに限らずEU域外からの(文化差が大きい)留学生獲得への関心が全体として薄い傾向が観察された。動向の変化や地域差を確認することができた。 日本では,留学生増員が進められるなか,宗教的多様性への対応についても大学関係者の関心の高まりが観察された。平成22年度国立大学留学生センター留学生指導担当研究協議会のシンポジウムに招聘され報告を行った(東京大学,2010年6月24日)こともそのあらわれの一つと言える。日本の現状と課題についてはシンポジウムでの報告を基に論文にまとめ投稿した(『留学生交流・指導研究』13号掲載決定)。 オーストラリアの南クイーンズランド大学,シドニー大学を再度訪問し調査を行った結果,特に留学生獲得戦略の一環として礼拝環境整備を進めてきた南クイーンズランド大学において,前回調査(2007)以降留学生全体としては減少傾向が続くなかでムスリム留学生は倍増し,増加を続けていることが確認された。宗教関連の学生サービス一般においても宗教センターを開設するなど充実させているほか,大学として多文化主義を積極的に進め,それを特色とした広報戦略を展開・成功させていることも確認された。同大学訪問時には本研究の成果を還元するためのセミナーも開催し意見交換を行った。
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Research Products
(3 results)