2010 Fiscal Year Annual Research Report
フィンランドにおける地方分権的教育行政の研究-格差を抑制する教育システムの検討-
Project/Area Number |
21730675
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
渡邊 あや 熊本大学, 大学教育機能開発総合研究センター, 准教授 (60449105)
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Keywords | フィンランド / 教育行政 / 地方分権化 / 平等性 / カリキュラム / 教員 / 義務教育 |
Research Abstract |
本研究は、地方分権化された教育行政・制度を有しながら、平等性・公正性と優秀性を高い水準で達成しているとされるフィンランドの教育システムのあり方を、(1)教育機会の均等、(2)財政配分、(3)教員確保、(4)カリキュラム(教育内容)という4つの視点から調査研究することにより、「フィンランドの地方分権的教育行政は、平等と公正を担保する機能を制度の中にヴィルトインしている」という仮説の検証を試みるものである。 本年度は、まず、平成21年度に中央教育行政機関(国家教育委員会)及び地方行政機関(市町村レベルの教育局)において実施した現地調査により設定した「地方分権化から10年を経て徐々に地域間格差が顕在化しつつある」という仮説について、現地の研究者からフィードバックを得た。その過程の中で、現在、教育の提供における責任について、中央と地方の適切なバランスを探る動きが活発化していることが明らかになった。教育内容に関する自治体や学校の自律性を担保することの重要性を認識しつつも、格差拡大を懸念して国の関与の拡大を求める声が高まりつつある現状を踏まえ、今年度は、当初予定していた機関レベルでの調査を来年度へ延期し、代わって、教育行政における中央一地方間の責任及び役割の調整の取組について調査を行った。その結果、フィンランドでは、地方や学校の裁量を侵すことなく、平等性を担保する仕組みとして緩やかなガイドラインの導入を教育行政の諸領域で進めていることが明らかになった。
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