2009 Fiscal Year Annual Research Report
ブラジルにおけるノンフォーマル教育と社会的包摂に関する基礎的調査研究
Project/Area Number |
21730677
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
田村 梨花 Sophia University, 外国語学部, 准教授 (50349031)
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Keywords | 教育学 / 地域研究 / 社会学 / 文化人類学 / ブラジル / ノンフォーマル教育 / NGO |
Research Abstract |
本研究は、ブラジルにおいて社会的排除層と位置づけられる都市貧困地域の子ども、特に路上生活・児童労働の経験のある子どもが、NGOの実践するノンフォーマル教育を受けることで、中等・高等教育への就学、雇用市場への参入、自治体行政への参加という社会的包摂を獲得する過程分析により、途上国のノンフォーマル教育の社会的役割の可能性と限界を人類学的調査に基づき明らかにするための基礎的調査研究である。初年度は、以下の分析、文献調査およびフィールド調査を行った。(1)教育社会学・教育人類学(特に途上国のノンフォーマル教育)、開発人類学等文献調査による先行研究の整理と理論的枠組みの検討、(2)ブラジルにおける資料収集およびフィールド調査(8~9月)(1)NGOの教育活動の参与観察(当該NGO活動参加者のOB・OGおよび大学生インターンに対する聞き取り調査含む)、(2)次年度の本調査(ライフ・ヒストリーの聞き取り調査)におけるインフォーマントの選定に関するNGOスタッフとの面談、(3)市教育局にて公教育機関、NGO子ども権利センターにてノンフォーマル教育組織の所在地.連絡先等データ入手、(4)連邦大学児童青少年研究所にてフィールド調査に関する情報交換、(3)教育組織分布のマッピング作成、(4)次年度フィールド調査の準備(1)本調査における質問票および聞き取り調査項目の検討、(2)マッピングに基づく教育活動圏の把握、(3)キー・インフォーマントとの情報交換。本年度のフィールド調査では、ブラジルのノンフォーマル教育組織に関わるメンバー間では社会的包摂の概念において進学を含めた経済的エンパワーメントよりも政治的エンパワーメント(行政への影響力、国内外NGOのコアメンバーであるか等により社会変容の主体となりうる力を有しているかどうか)が分析視点として重要視されていることが確認できた。
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