2011 Fiscal Year Annual Research Report
ブラジルにおけるノンフォーマル教育と社会的包摂に関する基礎的調査研究
Project/Area Number |
21730677
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
田村 梨花 上智大学, 外国語学部, 准教授 (50349031)
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Keywords | 教育学 / 地域研究 / 社会学 / 文化人類学 / ブラジル / ノンフォーマル教育 / 社会的排除 / NGO |
Research Abstract |
本研究は、ブラジルにおいて社会的排除層と位置づけられる都市貧困地域の子ども、特に路上生活・児童労働の経験のある子どもが、NGOの実践するノンフォーマル教育を受けることで、進学、就職、政治参加等の社会的包摂を獲得する過程分析により、ノンフォーマル教育の社会的役割の可能性と限界を人類学的調査に基づき明らかにするための基礎的調査研究である。初年度に引き続き、以下の分析・調査を行った。 1.文献調査による先行研究の整理と理論的枠組みの検討 (1)教育学、特に社会教育(路上教育)、生涯教育におけるノンフォーマル教育の定義について国際比較の視点から整理した。 (2)教育政策におけるノンフォーマル教育の活用例について、主にブラジルの事例研究を検討した。このうち地域社会における潜在的教育空間を活用して行われる教育政策については「ブラジルにおけるノンフォーマル教育-教育指標の変化と政策との連携における分析から-」(第三世界の教育研究会2012年1月例会、於国立教育政策研究所)において報告の機会を得た。 2.調査地であるパラ州ベレン市における公教育およびインフォーマル教育組織のデータベース化、組織分布のマッピングの修正・調整、調査対象NGOの卒業生(キー・インフォーマント)との情報交換を行い、今後継続する現地調査に必要な情報を整理した。また、調査団体においてノンフォーマル教育活動を経験した日本人スタッフが帰国後どのような社会活動・教育活動に従事しているか追跡調査を行った。ノンフォーマル教育の社会的影響の分析には、該当コミュニティにおける社会的排除/包摂の観点からの分析にとどまらず、地域社会・国際社会にひらかれた教育活動のネットワークがもたらすソーシャル・キャピタルの観点も含めて検討すべきであることが明確化された。
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