2009 Fiscal Year Annual Research Report
中学校におけるICTを活用した「図形」領域のカリキュラム開発に関する基礎的研究
Project/Area Number |
21730684
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
辻 宏子 Hokkaido University of Education, 教育学部, 准教授 (20374754)
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Keywords | Dynamic Geometry Environment / 平行四辺形の概念形成 / 学習経験 / 中等前期教育段階 |
Research Abstract |
本研究の具体的な研究課題を次のように設定した。1)DGEの導入による学習経験の質の変化の意味内容と,学習者が形成する概念の質や形成のプロセスに対するその影響について明らかにすること,2)インストラクショナル・デザインに関する研究成果に基づく枠組みを利用し,教材開発や授業設計レベルでの変化を明らかにすること,3)上記2つの課題の解決に基づく学習内容及びその配列などに関する,これからのカリキュラム開発に対する提言を行うこと。これらの課題に対し,本年度は次の作業課題を立てた。(1)研究課題1)に対する分析のための枠組みの改善,(2)研究課題2)で比較する対象を明確にするために,前期中等教育段階の教科書,実践の分析,(3)研究課題1)に対する調査としてDGEを利用した実践の計画。以下では,本年度の成果として特に(2)について記述する。 前期中等教育段階における現状の分析を進めた結果,初等教育段階から学習経験の見直しの必要性が生じた。これはDGE導入による子どもの学習経験のこれまでとの違いを明確にすること,DGE導入の時期に関して考察する上で改めて必要であることが認識された結果である。そのため特に図形の概念形成に係る学習経験について,当該領域だけでなく,求積など関連する学習活動も含め,教科書分析及び実践,子どもの実態の調査を,前期中等教育段における学習内容と深いかかわりを持つ平行四辺形に焦点を当てて行った。この結果,子どもの概念形成,特に「高さ」の概念において課題があること,学習経験がその後の学習に対して効果を持つための学習活動のあり方の重要性が明らかになった。またこの結果に係り,学習活動の効果という点から,前期中等段階における学習活動の見直しを図り,DGE環境と類似した活動を行うことができる教具を検討しこれについての実践も行った。これらの詳細については学会誌への投稿を予定している。
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