2010 Fiscal Year Annual Research Report
感覚の働きによる意味生成としての学びの実現を目指す美術教育のカリキュラム開発研究
Project/Area Number |
21730689
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
新野 貴則 山梨大学, 教育人間科学部, 准教授 (60353380)
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Keywords | 図画工作科教育 / 美術科教育 / 意味生成 / 感覚 / 知覚 / カリキュラム開発 |
Research Abstract |
本研究の目的は、図画工作・美術教育における子どもの学びを意味生成の行為としてとらえ、子ども自身の感覚を働かせることがその行為の根拠となる学びの論理を構築し、この視点に基づいた題材(単元)開発の視点を提示することである。平成22年度は、前年度に引き続き、意味生成として学びの論理構築を行った。意味生成としての学びとは、材料や用具、活動する場の状況などから、子ども自身が発想し、工夫しながら何かをつくりだし、さらにつくったものから発想を広げるなどして活動を展開することで意味世界をつくり変える学びのことである。ただし、子どもが気ままに造形活動を展開し、その結果あらわれた造形が変化すれば、それが子ども自身の意味世界をつくりかえ、学びが成り立っていると単純に言えるものではない。そこで、図画工作・美術教育における意味生成の学びの活動の機制について、感覚の働きに焦点を当てつつ論理的に分析した。その結果、意味生成としての学びの機制を三つの位相に整理することができた。一つ目は、象徴秩序に基づきながら子ども自身にとって新しい意味を生み出していく学び。二つ目は、象徴秩序では十分とらえきれないものを感覚しながら有用な行動に結びつく運動図式を獲得していく学び。三つ目は、行動の有用性から離れて、感覚することそのものを楽しむかのように意味を生成していく学びである。これらの考察の結果、さらなる課題も明らかになった。これについては次年度の研究課題として取り組む予定である。なお、この考察と結果については整理し、研究論文にまとめ、発表した。
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