2009 Fiscal Year Annual Research Report
国語科教師の専門知の発展を促す授業批評会のあり方に関する研究
Project/Area Number |
21730696
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
丸山 範高 Wakayama University, 教育学部, 准教授 (50412325)
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Keywords | 教科教育学 / 国語科教育 / 教師教育 / 授業批評会 / 教員研修 |
Research Abstract |
本研究の目的は、国語科授業研究の一環として行われる授業批評会に焦点を絞り、そこでの授業者教師の学びの姿(授業づくりに関わる専門知を獲得し発展させていく過程)をライフストーリー・インタビューに基づく語りの記述・解釈によって解明し、教員研修としての授業研究のあり方について考察することにある。なお、研究の対象となる授業は「読むこと」の領域とした。また、授業批評会における同僚教師の批評を授業者教師がどのように取り込みつつ語りを構築したのかについて、具体的な文脈も含めて明らかにするべく、事例研究により研究を遂行した。 本年度は、全国各地で活躍する若手教師からベテラン教師に至る、幅広い年代の国語科教師の協力の下、それぞれの教師が授業批評会をどのように意味付けたのかに関わるインタビューを実施し、データの収集と記述・解釈に努めた。なお、インタビューだけでなく、研究代表者が協力者教師の授業及び批評会を観察するという参与観察も実施し、インタビューの場において、語り手教師との間で語りの内容についてイメージの共有を図れるよう配慮した。 研究の結果として、現職国語科教師にとって、授業づくりに関わる専門知は、国語科教育研究における理論が背景とした領域だけで構築されるものではないことが判明した。「読むこと」の授業づくりに関する先行研究理論は、抽象的・一般的な学習者の思考モデルや教材文が持つ言語構造を背景に開発されてきた。ところが、現職国語科教師が日々の授業づくりにおいて背景とするのは、そうした領域にとどまらない。学校ごとに異なる個別具体的な学習者はもちろん、勤務校の学校文化や目標、それに基づいて策定された年間指導計画、同僚教師の思想といった社会状況の文脈に基づいて専門知は構築され、そこにこそ、現職国語科教師の授業づくりのリアリティが見出される。
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