2009 Fiscal Year Annual Research Report
人と人との関わりを高めケアリングを育む家庭科授業プログラムの開発
Project/Area Number |
21730701
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
貴志 倫子 Fukuoka University of Education, 福岡教育大学・教育学部, 准教授 (60346468)
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Keywords | ケアリング / 家庭科 / 授業プログラム / 米国 |
Research Abstract |
米国のFCS(Family and Consumer Science)教育における授業実践の収集と分析を行い,ケアリングの視点が授業の実践レベルでどのように生かされているのか明らかにすることを目的として研究を行った。具体的には,米国の研究者Dr.MaryPickardの協力を得て,米国ノースカロライナ(NC)州の教育局と学校およびヴァージニア州の学校へ情報提供と授業視察を依頼し,実地調査を行った。またNC州家政学会ラウンドテーブルで,日本の家庭科の状況とケアリングについてのプレゼンテーションを通じて現地研究者,教師と交流を図り,FCSカリキュラムおよび中等学校における授業の実態,課外活動であるFCCLAについてインタビューを行った。 実地調査を平成22年3月初旬から中旬に行ったため,収集した資料および授業記録,インタビュー記録の分析は3月末現在完了していないが,これまでに明らかとなった研究の成果は次のとおりである。NC州教育局が示すFCSカリキュラムは,米国の多くの州同様,キャリア技術教育の一教科としておかれ17科目が示されている。ケアリングは「親業」「児童発達」の科目において主に扱われているほか,キャリア形成の基礎的科目のなかで,その必要性が取り上げられていた。高等学校におけるFCSの科目は,学期末に州の共通試験が課されるために,授業内容が州の学習スタンダードに規定されているという特徴をもっていた。共通試験の導入によって授業の標準化が行われ,経験の浅い教師のための教材等が充実した利点があることは授業観察からも伺えた。一方,ケアリング形成に重要である課外活動のための時間や資源の配分は,共通試験に直接貢献しないという理由から個々の教師の力量にまかされ,活動促進と活動の質には課題のあることが分かった。
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