Research Abstract |
22年度は,前年度の結果をふまえて,教師自身の生活価値観と学習指導内容の結びつきを明らかにするために,高等学校の家庭科教師を対象としたアンケート調査およびヒアリング調査を実施した.アンケート調査は2010年7月に,福島県内の高等学校家庭科教師27名を対象に行った.調査項目は,教師の生活経験,家庭科の授業目標,各学習領域の必要度と重点指導項目,教師自身のキャリアアップに関する項目である.得られたデータは統計的な処理を行い,分析をした.ヒアリング調査は2010年9月~2011年2月に,長崎県内の高等学校家庭科教師4名を対象に実施した.ヒアリングは,質問項目を設定するが,対象者とのやりとりにより項目内容を広げながら面接する半構造化面接法を用いた.おもな調査項目は,経歴,生活や人生に対する意識,学習目標の設定理由,指導上の工夫である.今後,ICレコーダーに記録したデータをスクリプトに起こして,プロトコル分析を行う.本年度はデータの収集に力点を置いた.したがって,両調査に関する詳細な分析および結果の考察は23年度の課題とする.現時点で予想される結果としては,個々の教師により,必修科目で取り上げる学習指導領域にばらつきがみられた.また,同じような学習内容や教材であっても,教師によって,取り上げ方や視点が全く異なっていた.こうした背景には,家庭科教師は一校一人の配置がほとんどであり,研修の機会が少ないことから,担当する教師の教科観や指導方法がそのまま生徒に対する学習指導に結びつきやすいのではないかと考えられる.そこで,さらに家庭科教師の生活価値観や教科観の構築について追究したい.
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