2011 Fiscal Year Annual Research Report
教師の生活価値観が生活設計教育の学習指導内容に及ぼす影響に関する実証的研究
Project/Area Number |
21730702
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
小清水 貴子 静岡大学, 教育学部, 准教授 (70452852)
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Keywords | 家庭科 / 生活価値観 / 学習指導 |
Research Abstract |
本研究の目的は,教師自身の生活に対する価値観が家庭科の生活設計教育の学習指導内容にどのような影響を及ぼすのか,その実態を明らかにし,具体的課題と展望について分析・考察することである.今年度は家庭科教師に対する調査の実施と分析に主眼を置いた.始めに調査研究の枠組みを再検討した.昨年度までの研究成果から,教師の教科観や学習指導観をより詳細につかむには,生活設計教育だけに絞らず,家庭科教育全般に視野を広げることが必要であるということから,教師のライフコースと家庭科の学習指導内容の関連を分析することにした.つぎに,昨年度実施した高等学校家庭科教師を対象とした家庭科の学習指導に関するアンケート調査の分析を行い,成果をまとめた.その結果,ライフコースにおける教師の生活経験と家庭科の学習指導観との間に関連がみられることがわかった.教師自身の持つ生活課題が家庭科の学習内容に反映されていた.また,中学・高等学校の教師を対象にヒアリング調査を実施した.調査は2011年5月~12月にかけて行い,調査項目は教師歴,教師自身の生活経験,家庭科の授業目標,各学習領域の必要度と重点指導項目,授業で扱う教材の工夫,教師自身のキャリアアップに関する項目である.ICレコーダーに記録したデータをスクリプトに起こして,プロトコル分析を行った.昨年度の調査では量的分析を行い,全体的な傾向を把握することに努めた.今年度は個々の教員の生活に対する価値観に迫ることを目的とした.その結果,個々の教師についてライフコースによる生活経験による学習内容を指導する視点の変容が明らかになった.一昨年度の調査では,生徒の生活実態との関連が強くみられたが,今年度の調査では生徒の生活実態よりも教師自身の生活課題との関連が強くみられた.これらの相違に関して,最終年度ではさらに分析を深めたい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的や実施計画に関して,交付申請書に記載した内容にそって研究を進めることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
ヒアリング調査の分析については,テキストマイニングソフトを活用することを検討し,分析の精緻化を図りたい.また,来年が最終年度であるため,考察を行うにあたり,データが足らない箇所は補足のヒアリング調査を行うなどの方策を取りたい.
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