2011 Fiscal Year Annual Research Report
バーチャルリアリティ・テストによる自閉症スペクトラムの感情認知計測と教育への応用
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21730718
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
後藤 知子 浜松医科大学, 医学部, 特任研究員 (40345830)
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Keywords | 自閉症スペクトラム障害 / こころの理論 / 感情認知の障害 / バーチャルリアリティ |
Research Abstract |
目的自閉症スペクトラム障害(Autism Spectrum Disorder : ASD)は,社会的相互関係の構築が障害される広汎性発達障害であり,感情認知の障害が特徴的である。我々はvirtual realityの手法を用い,被験者が実際の対人場面に近い状況下で他者の感情をどのように読み取るかを測定できる感情認知測定ソフト(Virtual Reality Test : VRT)を開発した。本研究の目的は,VRTの有用性(reliabilityとvalidity)を確立し,感情認知能力習得プログラムの効果判定への応用を図ることである。 対象と方法8歳~18歳までのASD児童・生徒34名を対象とし,ASD群とした。ASDの診断は,有用性が確立されているAutism Diagnostic Interview-Revised (ADI-R)に従い,児童精神科医が確認を行なった。比較対照群は,年齢・性別・IQ等を可能な限り一致させた70名(健常群)。VRTの信頼性は,Cronbach's coefficient alphaを用いて確認した。また,construct validityを確立するために,VRTの得点(Score range 0-24)について,(1)ASD群と健常群に有意な差が認められるかどうか,(2)健常群において年齢群別で有意な差が認められるかどうか,(3)ASD群にこころの理論課題を施行し,達成度別に群分けを行ない,各群間に有意な差が認められるかどうか,について検討を行った。 結果平成21年度はVRTの有用性(reliabilityとvalidity)を確立した。平成23年度は,感情認知能力習得プログラムの効果判定への応用を図る。感情認知習得プログラムは,アスペ・エルデの会がすでに実施している,生涯発達支援プラン・支援プログラムの一部を用いる。現在までのところ、効果判定のためハード面での準備を整えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
IQを一致させた被験者のデータ収集に困難があり、十分な被験者が集められていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も被験者からのデータ収集に努力を続ける。Virtual reality testの妥当性と信頼性についての結果を論文にまとめ、その成果を国際専門誌に投稿する。本調査により得られた結果は、被験者のプライバシーを十分に配慮した上で公開する。また、ASDの特性の把握を目的として、virtual realityの手法を用いた研究はなく、特許を出願することも検討している。さらに、我々が開発する感情認知測定ソフトを実際の学校現場で施行し、療育効果の判定としての活用を図り、その成果も国際専門誌に報告する。
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