2011 Fiscal Year Annual Research Report
病弱児に対するクラスメイトの共感性向上のためのプログラム開発とその実証
Project/Area Number |
21730721
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
平賀 健太郎 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (30379325)
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Keywords | 病弱児 / クラスメイト / 共感性 / デジタルコンテンツ |
Research Abstract |
前年度までのプログラム開発およびその実証は,病弱児の在籍しないクラスでのデジタルコンテンツを用いた成果であった。本年度は,過去の成果と,実際に病弱児の在籍するクラスでデジタルコンテンツを活用した授業から導かれた課題等とを併せてプログラム開発を試みた。まず,病弱児が入院治療終了後に復学する学校において,デジタルコンテンツを活用して授業を行った経験のある特別支援学校(病弱)の教師を対象にインタビュー調査を行った。その結果,復学直前にクラスメイトに説明する内容を検討する際には,医療者との話し合いは必ずしも必要でないが,病弱児本人および,家族との話し合いを綿密に行う必要があることが報告された。また,クラスメイトに説明することで病弱児への支援の必要性の意識や共感性が向上しやすい内容として,周囲に感染する疾患ではないこと,入院中の治療が心身におよぼす苦痛,それらを乗り越えるためにクラスメイトの応援が有意義であったことが多く指摘された。さらに,クラスメイトの説明は,復学直前のみならず,入院直後にも行うことが有益であるとの示唆も得られた。保護者と連携しながらクラスメイトに病弱児のおかれている概況を説明し,クラスメイトを主体とする話し合いの時間を設けることによって,クラスメイトが自発的に入院中の患児へのサポートを提案し,継続したサポートがなされやすいことが報告された。過去で得られた知見を総合すると,クラスメイトの病弱児に関する知識や共感性を向上するためにデジタルコンテンツを活用することは,説明する者の力量に左右されにくい長所を備えている一方で,病弱児個々の背景に応じながらデジタルコンテンツを使用する箇所や,そのタイミング等を考慮したプログラムが重要であることが明らかとなった。
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