2009 Fiscal Year Annual Research Report
青年期発達障害者のセルフ・アドボカシー・スキル獲得にむけた教育プログラム開発
Project/Area Number |
21730725
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
片岡 美華 Kagoshima University, 教育学部, 准教授 (60452926)
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Keywords | 発達障害 / 障害理解 / 自己権利擁護 / 青年期 / 特別支援教育 / 国際情報交換 / アメリカ:オーストラリア |
Research Abstract |
今年度は、文献や実践例を通して、障害の自己理解教育に必要な教育内容を検討して明らかにすること、及びアドボカシー・スキルの獲得方法に関する先行研究を中心に行った。具体的にはまず、障害理解に関する文献及び教材例を購読し、内容の理解を深めた。次に、9月に米国のランドマーク大学を、12月に豪州のグリフィス大学を訪れ、障害学生に対する支援の取り組みを取材した。とりわけランドマーク大学では、数年にわたり障害の自己理解教育を行っていることから、その担当教員へのインタビューを行い、授業化する際の必須項目と留意点について検討を図った。これと並行して、ランドマーク大学とグリフィス大学の発達障害学生に対してインタビューを行い、彼らの困難さや求める支援等について実態を把握した。日本においては、日本学生支援機構が九州地区で行ったセミナーに参加し、各大学の発達障害学生の支援状況に関して報告を行うとともに情報と課題を共有した。2月には、ランドマーク大学の教授を招聘し、青年期の発達障害についての研修会を開催した。 当初の計画通り、現状把握と情報収集に努めることができ、中でも、先駆的実践を行っているランドマーク大学の複数のスタッフ及び、当事者である学生からの聞き取り調査ができたことは、本研究にとどまらず、研究領域としても大変貴重かつ意義があるものとなった。調査より、障害と診断をされていても、必ずしも障害受容やその障害を科学的に理解しているとは限らず、障害の自己理解教育の重要性・必要性が見出せた。また、その理解があれば、自ら支援を求めるアドボカシー・スキル向上につながるという関連性も見えてきた。今後、プログラム化に向けて収集したデータの整理分析に努めたい。一方、日本においては、現状把握も容易ではなく、診断との関係からも、今一度、プログラム導入のための環境という側面から検討を行う必要があり、課題として残った。
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