2010 Fiscal Year Annual Research Report
青年期発達障害者のセルフ・アドボカシー・スキル獲得にむけた教育プログラム開発
Project/Area Number |
21730725
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
片岡 美華 鹿児島大学, 糖学部, 准教授 (60452926)
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Keywords | 発達障害 / 障害理解 / 自己権利擁護 / 自己理解 / 思春期青年期 / 教育支援プログラム / アメリカ:オーストラリア / 特別支援教育 |
Research Abstract |
本年度の成果としては,第一に、昨年米国と豪州で収集したデータを分析し、学会発表等で報告を行った点が挙げられる。発達障害学生支援については、診断のあり方や、支援提供の方法に、国による制度の違いや文化的背景による差異が大きく関与している可能性があり、この点からも比較教育学的観点が重要である。とりわけ法制度については、国連障害者の権利条約の動向が注目されていることから、12月に再び豪州を訪れ、教育における合理的配慮のあり方や支援の方法について情報収集を行い、次年度に向けて分析検討を図っている。 第二に、昨年2月から開始した臨床事例検討が今年度の最たる成果として挙げられる。障害理解教育の教材として、豪州の自閉症児に対して用いられている教材を翻訳し、米国での事例と合わせて吟味し、実践を行っている。また、1自己理解について内面の変化を理解するために、対象者にインタビューを行い、現在分析検討している。他に、日本学生支援機構が九州地区で行った障害学生支援セミナーや、2月に講演した、南九州大学での発達障害学生支援についての研修会を通じて、他大学における発達障害学生支援の現状、成人期の生活の様子、及び自己理解の心理的過程について研修を積むと共に、多角的な視点を得ることができた。 当初の計画通り、教育プログラムの内容を検討し、臨床事例を開始できたことは意義があった。しかし臨床プログラムへの参加者が計画よりも年齢が低かったこと、対象者の自己肯定感の状況から、プログラムの進度や内容を変える必要が出るなど想定していなかった課題も出てきた。また、大学での発達障害学生の現状把握に伴い、集団的教育プログラム導入の困難さも見えてきている。これらは、実践および現状把握によって見えてきたものであるため、一研究成果として前向きにとらえつつ、今後、プログラム導入に向けた課題と方略を検討していきたいと考える。
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Research Products
(6 results)