2011 Fiscal Year Annual Research Report
青年期発達障害者のセルフ・アドボカシー・スキル獲得にむけた教育プログラム開発
Project/Area Number |
21730725
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
片岡 美華 鹿児島大学, 教育学部, 准教授 (60452926)
|
Keywords | 発達障害 / 自己権利擁護 / 自己理解 / 障害理解 / 教育支援プログラム / 思春期・青年期 |
Research Abstract |
今年度は、研究の最終年度にあたり、先行事例のまとめと教育内容の検討(計画1)、事例検討(計画2)、プログラム導入のための環境の検討(計画3)、評価と成果公表(計画4)を行った。中心的に行ったのは、計画2と4であり、2年にわたる臨床事例について経過を分析し、学会等で発表を行った。とりわけ、事例より明らかとなった「信頼関係の構築と日々の自信の積み重ねをベースとし、具体的なアドボカシーの方法を知り、そのアドボカシースキルの行使によって他者から支援を得るという成功体験の重要性」は、今後のプログラムの発展において意義があるものとなった。さらに「障害理解を支援し、アセスメントなどを通して特性理解をしたうえで、その特性を生活に生かす方法を具体的に提示すること」が、発達障害者が主体的に生きていくうえで重要であることも見いだされた。プログラムの評価については、対象者ならびに、当初より研究助言を得ていたランドマークカレッジや、オーストラリアの研究者等から一定の評価を得ることができた。計画3については、集団プログラムとして導入するうえでの課題が昨年度よりあがっていたが、今年度の研究では、二次障害の有無がプログラムの場や内容設定とも大きく関わることが示唆され、今後、学校での集団プログラムと、二次障害を顕著に呈している場合の個別プログラムの両面からの検討が必要であることが課題として残された。一方、本プログラムを通常教育の場で実施するには、多様性を認める環境づくりが求められる。このことから、オーストラリアから教授を招聘し、大学や公民館での啓発活動を行ったことは、本研究と関連した社会的貢献として意味があった。以上、概ね計画通りに進めることができ、当初の目的であった具体的な教育内容や教育方法を明らかにできたことが成果としてあげられる。なお本研究の成果については報告書としてまとめた。
|