2011 Fiscal Year Annual Research Report
相対的対数p進コホモロジー,ホモトピー及び過収束アイソクリスタルの研究
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21740003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
志甫 淳 東京大学, 大学院・数理学研究科, 准教授 (30292204)
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Keywords | 過収束アイソクリスタル / 対数的収束アイソクリスタル / 可積分接続 / p進微分方程式 |
Research Abstract |
本研究の目的はp進数論幾何学において重要な対象である標数p>0の代数多様体Xの相対的リジッドコホモロジーおよびその係数である過収束アイソクリスタルの性質を詳しく調べることである.昨年度の研究において,Xが平滑で良いコンパクト化Yを持つときに,Y上の半単純調整済放物的単根対数的収束Fアイソクリスタルの概念を定義し,それのなす圏がXの馴分岐代数的基本群のp進表現の圏と圏同値となることを証明した.今年度はまず前者の圏の別の特徴づけを調べ,それが調整済放物的対数的収束Fアイソクリスタルの中で生成的に半安定かつ勾配が0という条件を満たすものの圏と同値であることを示した.これは翁林氏により提起された問題に対する一つの答えであり, Mehta-Seshadriによる曲線の基本群のユニタリ表現の圏と半安定かつ勾配が0のベクトル束の圏との同値のp進類似である.次に, Ogus-Vologodskyによる標数p>0のスキーム上のある種の可積分接続の圏とある種のHiggs加群の圏との間の圏同値の一般化,p進化を目指すためにZ/p^nZ上のスキーム上の可積分接続について研究し,相対Frobenius写像の持ち上げに関する適当な仮定の下で準冪零可積分接続の圏と準冪零可積分p接続の圏とのある圏同値を示した.これはOgus-Vologodskyの局所的な結果の一般化になっている.以上の結果についての論文の執筆および昨年度までに書いた論文の改稿も進め,「国内外で研究発表を行った.更に,過収束アイソクリスタルとp進微分方程式に関するAndre, Christol, Mebkhout, Kedlayaや自分の結果についての解説論文を執筆した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
過収束アイソクリスタルの研究については,曲線切断による種々の性質の判定,p進表現との関係などに関して当初の計画を大きく超えた興味深い問題に取り組み,大きな進展が得られた.その一方で,p進コホモロジー,p進ホモトピーに関する研究については,ゆるやかな進展はあるものの当初の計画よりはやや遅れている.従って,総合的に考えた場合,おおむね順調であろうと評価する.
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Strategy for Future Research Activity |
過収束アイソクリスタル,p進コホモロジーに関して執筆中の論文が複数あるので,それらの改稿,出版を進めることが重要である.過収束アイソクリスタルに関しては更にいくつかの問題について研究を進める予定である.また,p進有理基本群についての研究を進めようと考えている.国内外の研究集会での発表も予定している.
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