2009 Fiscal Year Annual Research Report
代数多様体の高さのアラケロフ幾何的視点による研究とその応用
Project/Area Number |
21740012
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山木 壱彦 Kyoto University, 工学研究科, 講師 (80402973)
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Keywords | 高さ / アラケロフ幾何 / グラフ / ボゴモロフ予想 / Gross-Schoen輪体 |
Research Abstract |
代数多様体の算術的複雑さを測る量として,高さというものがある.代数多様体の高さの計算は一般に難しいが,曲線の場合には具体的計算が可能な場合がある.関数体上の曲線の場合,そのモデルが半安定になるならば,高さは,モデルの相対標準因子の自己交叉数と,各素点における還元グラフ(計量付き偏極グラフになっている)上の調和解析を通して決まる許容定数とを用いて表せることが知られている.さらにそのアイデアを使うと,Gross-Schoen輪体と呼ばれる,曲線の三重積の一次元サイクルの高さの計算にも応用可能であることわかる.実際,それは(関数体上の曲線のボゴモロフ予想を念頭において重要であった)曲線の高さの計算で出てくる許容定数と呼ばれる不変量と非常に密接な関連がある.当該年度の前半の研究実施において,ある種の曲線に対しGross-Schoen輪体の高さの計算を実行し,幾つかその応用を述べた論文を出版した。また,この研究に関連した話題について講演も行った. 他にも,当該年度の後半には,ボゴモロフ予想についてであるが,Gublerの,アーベル多様体が総退化な素点を持つ場合の結果を参考に,総退化とでないとならない素点しか持たない場合において幾何的ボゴモロフ予想を考察し,その研究成果をまとめる作業および研究発表を行った.その研究においては,所謂標準計量の考察が重要であったが,今回の研究においてその部分が十分詳しく研究され,それが研究進展の重要な鍵となった.
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