2011 Fiscal Year Annual Research Report
代数多様体の高さのアラケロフ幾何的視点による研究とその応用
Project/Area Number |
21740012
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山木 壱彦 京都大学, 高等教育研究開発推進機構, 准教授 (80402973)
|
Keywords | 代数幾何 / 高さ / 有理点 / 非アルキメデス的幾何 |
Research Abstract |
大域的な体の上で定義された代数多様体の算術的性質を研究するに当たって、その定義体の素点を選んでそこでのある種の「標準測度」を研究することは、一つの重要な切り口となっており、実際、算術的力学系の研究においては大きな成果があがっている。アーベル多様体の閉部分多様体の標準測度について、非アルキメデス的素点におけるその構造について考えると、例えば標準測度をトロピカル化したものは、単体上に台を持つ相対ルベーグ測度であることはグブラーにより示されているなど、その構造は具体的問題にある部分については応用可能な程度のいろいろ分かってきており、またアルキメデス的付値体の上での標準測度の振る舞いと似たところや類似の使用方法などは明らかにされつつある。しかし、アルキメデス的付値体上でのそれと比較すると、まだまだ基本的な手法が確立されているとはいい難い。例えば、複素数体の上では、標準測度は標準計量の入った直線束の第一チャーン形式の最大が外積として得られるが、そのことが標準測度のいろいろな性質の理解を非常に容易にしてくるれる。一方非アルキメデス的付値体の上では、まだそのような理解の仕方は十分開発されていない。本年度はこのような微分幾何的理解を目標に標準測度を研究し、その成果の一つとして、このような理解の足がかりとなりうる「曲率」としての理解が得られた。これは、非アルキメデス幾何に微分幾何的視点を導入する上で意義深い成果であり、今後の発展の重要な一歩である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の実質的な進捗状況は大きな問題も無く順調である。実際、当該年度に支給された科学研究費補助金によって行った研究打ち合わせによって、当該研究課題についての、特にアーベル多様体の閉部分多様体上の標準測度の知見が深まり、それを下にして得られた成果をまとめた論文が作成された。23年度では、さらにこの論文の内容は進展し、改定したものを作成した。なお、その論文は現在投稿中であり、査読を受けている。また、非アルキメデス的曲率に関する論文を作成中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
当該年度の成果をもと、それを更に発展させて研究成果をまとめる予定である。23年度科学研究費補助金で得られた成果のうち、最終的な形として完成させて発表するにはもう少し研究を深めたいものもある。その研究を完遂するために、今後も主要な研究集会等で他の研究者との研究討論を通じて知見を深め、それをもとに研究を進展させる予定である。
|