2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21740018
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川口 周 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (20324600)
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Keywords | 標準的高さ / アラケロフ幾何 / 解析的トーション |
Research Abstract |
代数多様体が「良い」自己写像を持つときに,その反復合成に関する性質はとくに複素数体上で深く調べられている.代数体上に定義された代数多様体の有理点については,その算術的な「大きさ,複雑さ」を測る量として高さとよばれる量があり,「良い」自己写像を持つ場合には,その写像に関して良く振る舞う高さが存在することがある.このような高さを標準的高さという,前年度に,一般に有理数体を含む環上で定義されたアフィン空間の自己同型の次数の増大度がどうなるかを考え,単純な場合であるが,ジャコビアンが1のアフィン平面の次数dの三角自己同型の反復合成に関する増大度はdの2次式という定数で押さえられることが分かった.今年度に,グラスマン多様体G(2d-2,d-1)上のシューベルト計算を用いることで,この定数が最善の評価であることが確かめられた(前年度の,一般次元の三角自己同型の増大度に関するおおざっぱな評価の結果は,雑誌掲載が決まった).また,Baragarによって標準的ベクトル高さの概念が導入され,一般には標準的ベクトル高さは存在しないことが数値計算によって強く支持されているが,存在しないことの厳密な証明はまだされてないように思われる.これについてはある仮定(具体的な場合にはこの仮定がみたされることが確かめられる)のもとで存在しないことの証明ができることが分かった,また,一般の射影空間の有理写像について,有理点の算術的な増大度と写像の次数の増大度の関係についても考えていたが,ブラウン大学のシルバーマン氏が,考えていたことを含む一般的な結果を先に得た.シルバーマン氏と,ブラウン大学ICERM研究所のプログラム「complex and arithmetic dynamics」で2月に短期滞在した折に,算術的増大度と次数増大度について議論をした.
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Research Products
(4 results)