2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21740025
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
成田 宏秋 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (70433315)
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Keywords | ジャッケ・ラングランズ対応 / 次数2のシンプレクティック群 / 内部形式 / テータリフト / フーリエ係数 / 保型L関数の中心値 / 例外型リー群G2 / ホウィッタカー関数 |
Research Abstract |
今年度は、これまで奈良女子大の岡崎武生氏と共に研究してきた次数4の直交群上の保型形式から次数2のシンプレクティック群とその非コンパクト内部形式への2つのテータリフトがジャッケ・ラングランズ対応の条件(具体的にはスピノールL関数の一致など)を満たすことを確かめた結果について、当初の計画通りの進展を得ることができた。つまりこれら2つのテータリフトが生成するカスプ保型表現のすべての素点での局所成分を具体的に決定することができた。そしてこの2つのテータリフトがオクラホマ大学のラルフ・シュミーッドが与えた非カスピダル表現の明示的な「局所ジャッケ・ラングランズ対応」と両立するよい大域的対応を与えることが分かった。更に今年度はコンパクト内部形式へのテータリフトについても研究し、これも上述の2つの保型形式とのジャッケ・ラングランズ対応の条件を満たし、同様の理解ができることを確かめた。 この研究は、すでに知られている四元数環の乗法群の場合以外で、ジャッケ・ラングランズ対応を精密に与えた唯一の例と思われる.またこの研究の応用として、非コンパクト内部形式へのテータリフトのフーリエ係数の2乗を次数2のシンプレクティック群のランキン・セルバーグ型保型L関数の中心値と明示的に関係づける公式やこの非コンパクト内部形式へのテータリフトの非消滅の存在を証明できた。以上の応用はこれまでの結果を無限素点の表現を一般の離散系列表現にした場合までに拡張したものである。 最後に今年度は例外型リー群G2上のホウィッタカー関数の研究も取り上げたが、ハイゼンベルグ放物型部分群の場合で四元数離散系列表現に対するホウィッタカー関数が満たす差分微分方程式を明示的に書き下すまでに至った。次のステップはこの微分方程式を解きホウィッタカー関数を明示的に書くことであるかこれは次年度以降の新しい研究期間において行うことにした。
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