2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21740026
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
黒田 茂 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (70453032)
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Keywords | 多項式環 / アフィン代数幾何学 / 多項式写像 / 正標数 / 局所冪零微分 / Tame Generators Problem / Shestakov-Umirbaev理論 / 高階微分 |
Research Abstract |
前年度に開発した、3変数多項式環の自己同型の野生性判定のための効果的な方法を用いて、平成22年度前半は、さらに様々な種類の自己同型の野生性の判定に取り組んだ。一般に、多項式環の局所冪零微分から多項式環の自己同型が定まる。3変数の場合は「階数」が2以下の局所冪零微分はよく調べられているが、階数が3の局所冪零微分については不明な点が多く、具体例の構成も容易でない。そこで、我々はまずフロイデンバーグの方法を一般化し、階数が3の局所冪零微分を組織的に構成した。そして、前年度に開発した方法を応用し、その局所冪零微分たちから定まる自己同型がどれも野生であることを証明した。 平成22年11月に開催されたアメリカ数学会の会合や、同年12月にインドで開催された国際研究集会、平成23年1月に台湾で行われたワークショップ等において、これまで進めてきた多項式環の自己同型に関する一連の研究結果について発表した。研究分野が近接している海外の研究者が多数参加する中で、効果的なプレゼンテーションを行い、非常に有意義な成果を得た。 平成22年度の後半には、3変数多項式環の自己同型に関するShestakov-Umirbaevの理論を、基礎体が正標数の場合に拡張する研究を進めた。この研究は以前から取り組んできたものだが、標数が0の場合に重要な役割を果たす「Shestakov-Umirbaev不等式」を、正標数の場合に証明することに遂に成功した。これにより、Shestakov-Umirbaevの理論の正標数の場合への拡張に向け、研究が大きく前進した。 前年度に私が実装可能な形にまとめた、多項式環の自己同型の順性判定アルゴリズムを、首都大学東京の原田氏、宮本氏、小椋氏らが、マグマというソフトウエアを用いて実装することを試みた。その際に、順性判定の理論について説明するなどして協力した。
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