2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21740027
|
Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
齋藤 夏雄 広島市立大学, 情報科学研究科, 講師 (70382372)
|
Keywords | 正標数 / 代数多様体 / 有理二重点 / 変形空間 |
Research Abstract |
本年度も引き続き、変形空間において等特異な部分空間を持つような正標数の有理二重点についての研究を行った。低標数の場合に非自明な等特異空間が存在する有理二重点の例がこれまでの研究によっていくつか見つかっているが、こうした等特異空間を包含する空間として、Tjurina数タウから定まる階層によって定義されるタウ一定軌跡と呼ばれる空間を考えると、見通しがよくなることが明らかになった。そこで有理二重点に対してタイプごとにこれを計算することを試み、標数3以上のすべての場合においてその次元と局所的な構造を明らかにすることができた。この成果については、伊藤浩行氏(広島大学)・廣門正行氏(広島市立大学)とともに論文にまとめて現在投稿中である。一方、標数2においては計算が複雑で完全な分類はできておらず、今後の研究課題となっている。タウ一定軌跡空間と等特異空間は標数0においてはともに自明であることを考えると、こうした特殊な変形空間の存在は、低標数の代数多様体の構造を解明するうえで重要な意味を持つと考えられる。 研究にあたっては共同研究者である伊藤浩行氏(広島大学)・廣門正行氏(広島市立大学)と頻繁にセミナーを行い、徹底的に議論した。2011年11月に高知大学で行われた研究集会において、正標数の有理二重点の変形空間に関する最新の研究成果について報告したほか、国内外の研究者と議論および情報収集を行うことを目的として、群馬県の玉原高原で行われたセミナーや城崎でのシンポジウム、東大や法政大で行われた研究集会などに積極的に参加した。
|