2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21740029
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
那須 弘和 東京電機大学, 情報環境学部, 助教 (30535331)
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Keywords | 代数多様体 / 変形理論 / 無限小変形 / ヒルベルトスキーム / 障害 / スクロール / 空間曲線 / リエゾン |
Research Abstract |
本研究の目的は、代数多様体(主に3次元)上の曲線の無限小変形の障害類が消えない為の分かり易い条件を与えることである。Mumfordの構成した3次元射影空間内の曲線のヒルベルトスキームの非被約成分の例を一般化、もしくは簡易化することにより、曲線の変形障害と曲線を含む曲面上の第一種例外曲線との間の不思議な関係を理解するのが狙いである。 本年度は前年度までに得られた3次元代数多様体上の曲線の被障害変形に関する結果を、高次元代数多様体上の曲線の場合に一般化することに努めた。より具体的には、スクロールと呼ばれる有理的代数多様体上の退化曲線の変形について考察し、2位変形にリフトしないような1位無限小変形を持つ曲線族の構成に成功した。一般に、埋め込まれた代数多様体の1位無限小変形の障害類は、法束の第一次コホモロジーの元として定義され、カップ積による表示が知られている。障害類を具体的に計算し、非零を示すのは容易でない。本研究では、第一種例外曲線の代わりにスクロールの超平面切断上の可縮因子に注目し、カップ積の計算に利用することで、障害類の非零を示した。11月に早稲田大学において開催された研究集会に参加し、本研究成果に関する発表を行った。9月にはレビコ・テールメ(イタリア)において開催された国際研究集会に参加し、K3曲面とその上の曲線に関する講演を聴き、本研究に関わる情報を収集した。2月と3月には京都大学に滞在し、向井茂氏や藤野修氏と議論を行った結果、本研究結果に関する理解を一層深めることができた。
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Research Products
(4 results)