2011 Fiscal Year Annual Research Report
トーリック環の幾何的および組合せ論的変形操作に関する理論の構築
Project/Area Number |
21740030
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
大杉 英史 立教大学, 理学部, 准教授 (80350289)
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Keywords | トーリックイデアル / トーリック環 / グレブナー基底 / 多面体 |
Research Abstract |
トーリック環およびトーリックイデアルは,可換環論のみならず,凸多面体,整数計画問題,分割表の検定(統計学),符号理論など,幅広い応用が知られており,国内外の研究者によって盛んに研究されている。当該研究では,トーリック環の生成系をなす単項式集合の組合せ論的な変形,あるいは,生成系に対応する整数ベクトル集合の凸閉包に対する幾何的な変形によるトーリック環およびトーリックイデアルの環論的性質の変化について研究し,これらにまつわる様々な予想の解決を目指している。当該年度の研究では,変形操作として,整数行列の中心的対称配置について研究した。特に,有向サイクルの隣接行列に対して中心的対称配置を考え,付随するトーリックイデアルの,ある逆辞書式順序に関するグレブナー基底を理論的に構成した。対応するイニシャルイデアルはスクエアフリーであり,このイニシャルイデアルを用いて、対応するゴレンシュタイン・ファノ凸多面体のエルハート多項式を計算することができる。これらのエルハート多項式の根を詳細に調べたところ、頂点数が十分大きい場合は、Beckらによる予想「次元dの凸多面体のエルハート多項式の根の実部は-d以上d-1以下である」の反例となっていることが判明し、貴重な凸多面体(非特異ファノ凸多面体)で上記予想の反例が得られた。(東谷氏によっても反例は得られている。)そのほか,根が興味深い性質をもつようなゴレンシュタイン・ファノ凸多面体の構成や,完全グラフの辺凸多面体などのエルハート多項式の根の実部について結果を得た。
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Research Products
(9 results)