2010 Fiscal Year Annual Research Report
剰余モジュラーガロア表現の普遍変形環と普遍モジュラー変形環の同型問題
Project/Area Number |
21740031
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
山上 敦士 京都産業大学, 理学部, 准教授 (00440876)
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Keywords | p-進保型形式 / ヘッケ環 / ガロア表現 |
Research Abstract |
平成22年度の研究実績としては、無限の傾きを持つ楕円的固有形式のp-進解析的な無限族の構成問題について、はじめに与えられる新形式がp-超特異な場合、つまり導手がpで割り切れない場合に、肯定的に解決できたことが挙げられる。 一方で、この構成問題において本質的な場合は、はじめに与えられた新形式がp-超尖点的な場合、つまり導手がpで割り切れる場合であり、この場合に無限な傾きを持つp-進解析的な無限族が構成できるかどうかを判別しておくことは、ヒルベルト固有形式に付随する剰余ガロア表現の普遍変形空間の構造を解析するうえでも、基底変換の理論と重ね合わせた際に非常に重要なことで、「研究の目的」で述べた「ヒルベルト版グベアの予想」の解決に対しても有用であろうと思われる。今年度の研究で、上で述べたp-超特異な場合での解決方法の中に、p-超尖点的な場合での研究に対するヒントが多分に含まれていることがわかったということも大きな実績である。 今年度の研究では、国内外の研究集会に参加しながら専門家と幅広く研究打ち合わせをし、また整数論の専門書を購入し研鑽を深めることで、p-超特異な場合での整数論とp-超尖点的な場合での整数論の違いや共通点を深く理解でき、両方の場合のそれぞれにおいて、構成問題の研究を大いに促進することができた。 来年度以降も引き続き、与えられる新形式がp-超尖点的な場合における、無限の傾きを持つ楕円的固有形式のp-進解析的な無限族の構成問題に取り組み、普遍変形空間の幾何的性質の解析を深く促進してまいりたい。
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