2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21740036
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
永野 幸一 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (30333777)
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Keywords | 幾何学 / CAT(0)空間 / アダマール空間 / アレキサンドルフ空間 / CAT(1)空間 |
Research Abstract |
本年度の研究成果は以下の通りである.昨年度に引き続き,Lytchak氏(ミュンスター大学)との曲率が上に有界な距離空間に対する求積可能性,局所位相正則性,CAT(1)空間に対する球面定理などの一連の共同研究,またKleiner氏(イェール大学),塩谷氏(東北大学),山口氏(筑波大学)との曲率が上に有界な2次元距離空間に対する自然な曲率測度に関するガウス・ボンネ定理などの共同研究を研究論文の完成に向けて推進した. さらに本年度はLytchak氏との共同研究として,曲率が上に有界な空間に対する壁型特異性に関する研究を行った.nを2以上の自然数とする.Xを局所コンパクト測地的完備であり,一様にn次元であるCAT(k)空間とする.X内の点が壁点であるとは,その方向空間が(n-2)次元標準単位球面と3個以上の点からなる離散距離空間との球面的結に等長的であるときにいう.壁型特異性定理として,任意の壁点の任意に近いある点は,(n-1)次元円板と樹木の直積空間に同相な近傍を持つことを証明した.さらにその応用として,Xが壁点を許容しないことと,Xの位相的特異点集合や計量的特異点集合の被覆次元やHausdorff次元がn-2以下であることが必要十分であることを示した.さらにこれらのことが成り立つための必要十分条件は,どの点の方向空間も壁点を許容しないことである.これらの成果も研究論文に執筆する予定である.これら一連の共同研究はいずれも曲率が上に有界な距離空間の位相構造に関する汎用性の高い結果である.本研究の研究目標の一つである多面体位相正則性の問題に密接に関連しており,曲率が有界な空間の計量的な幾何学と幾何学的トポロジーの融合として今後の発展が期待される.
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