Research Abstract |
1. 安原晃氏(東京学芸大学)との共同研究により,以下の結果を得た.いま,自然数kに対し,グラフの空間埋め込み上のCk変形とは,Goussarov,葉廣により独立に導入されたある種の局所変形であり,グラフの2つの空間埋め込みがCk同値であるとは,それらが有限回のCk変形とアンビエント・イソトピーで移り合うときをいう.特に2つの有向結び目がCk同値であるための必要十分条件は,それらの次数k-1以下のVassiliev不変量が一致することである(Goussarov,葉廣)一方,絡み目の場合一般の成分数の場合に村上-中西によりC_2分類が,2,3成分の場合に谷山一安原によりC_3分類が2成分の場合にMeilhan-安原によってC_4分類がそれぞれ与えられ,更に一般のグラフの空間埋め込みの場合,本橋-谷山によっての分類が,グラフがサイクルの非交和を持たない平面的グラフの場合に谷山-安原によりC_3分類が,空間θ曲線の場合に安原によりC_4分類がそれぞれ与えられている.今回,新たに空間θ曲線のC_5分類,及び空間4頂点完全グラフのC_4分類及びC_5分類をそれぞれ具体的な代数的不変量の族によって与え,系として,5以上の自然数kに対し,2つの空間θ曲線(もしくは2つの空間4頂点完全グラフ)がC_k同値であるための必要十分条件は,それらの次数k-1以下のVassiliev不変量が一致することであることを示した. 2. 花木良氏(早稲田大学),谷山公規氏(早稲田大学),山崎晶子氏(東京女子大学)との共同研究により,以下の結果を得た.いま,グラフが結び目内在であるとは,その任意の空間埋め込みが非自明な結び目を含むときをいう.Conway-Gordonは,7頂点完全グラフK_7ね結び目内在であることを示した.また,グラフのHeawood族とは,K_7から有限回のΔY変換,もしくはYΔ変換と呼ばれる変形操作で得られるグラフの同型類全体の集合をいい,この族においてK_7から有限回のΔY変換のみで得られるグラフは結び目内在であるが(Motwani-Raghunathan-Saran),一方で,ΔY変換とYΔ変換の両方を用いて得られるグラフの中には,結び目内在でないものが存在することが,Flapan-Naimiによって指摘されていた.今回,Heawood族に属するグラフが結び目内在であるための必要十分条件は,そのグラフがK_7からΔY変換のみで得られることであることを示し,更に形からΔY変換のみでは得られないグラフは全て「結び目もしくは完全3成分絡み目内在」,即ち,その任意の空間埋め込みは必ず非自明な結び目か,またはどの2成分部分絡み目も分離不能であるような3成分絡み目を含むことを示した.また,K_7から有限回のΔY変換のみで得られるグラフは,結び目内在性に関してマイナーミニマル,即ち,そのグラフから任意の1辺を除去もしくは縮約して得られるグラフは結び目内在ではないことが小原-鈴木によって示されていたが,今回,Heawood族に属するグラフは,「結び目もしくは完全3成分絡み目内在」性に関してマイナーミニマルであることを示した.
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