Research Abstract |
1.橋本広香氏(東京女子大学)との共同研究により,以下の結果を得た,6頂点完全グラフK_6にΔY変換及びYΔ変換と呼ばれる2種類の操作を有限回施して得られるグラフの同型類の集合をPetersen族といい,ちょうど7つのグラフからなる.これら7つの任意のグラフの空間埋め込みの像の絡み目成分の絡み数の総和は必ず奇数であることがConway-Gordon及びSachsらによって示されており,更に7つ中3つのグラフについて,その整数上への精密化公式が,新國,O'Donnol,新國-谷山によって,絡み目成分の絡み数の2乗と結び目成分のConway多項式の2次の係数を用いて具体的に記述されていた.そこで今回,残り4つのグラフについても,同様の整数上への精密化公式を具体的に与えた. 2.橋本広香氏(東京女子大学)との共同研究により,以下の結果を得た.完全4部グラフK_<3,3,1,1>の空間埋め込みの像が必ず非自明な結び目を含むことはFoisyによって示されていたが,今回,K_<3,3,1,1>の空間埋め込みに対し,絡み目成分の絡み数の2乗と結び目成分のConway多項式の2次の係数を用いた整数上の従属関係式を与えることでFoisyの結果を精密化し,またK_<3,3,1,1>に有限回のΔY変換を施して得られる26個のグラフについても同様の従属関係式を得た.更に以下に述べる応用も与えた.いまグラフの空間埋め込みは,その像の各辺が線分であるとき直線型であるといい,これは高分子化学における分子化合物の数学的モデルとして自然に現れる概念である.今回の主結果の応用により,K_<3,3,1,1>の任意の直線型空間埋め込みの像は,全ての頂点を含む非自明結び目を必ず含むことを示した.
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