2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21740050
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 隆夫 京都大学, 理学研究科, 特定助教(グローバルCOE) (70533256)
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Keywords | 自由群の自己同型群 / Johnson準同型 / 曲面の写像類群 |
Research Abstract |
自由群の自己同型群のJohnson準同型に関する研究を継続し,特に主な研究結果として以下の3点が得られた. まず,自由群の自己同型群のJohnson準同型を,自由群のIA-自己同型群の整係数群環における添加イデアルが定める自然なフィルトレーションの各次数商に拡張するという結果が得られた.これにより,添加イデアルが定めるフィルトレーションの各次数商のGL-既約分解を考察する上で新しい道具が得られた. 次に,昨年,自由群のIA-自己同型群の降中心列の各次数商上で定まるJohnson準同型の余核を決定したが,これのGL加群としての既約分解に関する組み合わせ論的な記述を,榎本直也氏(京大理)と共同で研究し特に,自由群の自己同型群のJohnson準同型の余核に現れる対称テンソル(森田障害)や,交代テンソルの重複度が1であることを示した.さらにこれに関連して,森田トレースが自由メタアーベルリー代数の微分代数のアーベル化の生成元になることや,交代テンソルに付随するトレース写像が,自由冪零群の非自明な2次元コホモロジー類を定めることも示した. さらに,榎本直也氏と共同で,上述の結果を曲面の写像類群のJohnson準同型の余核の研究に応用し,森田障害が重複度1でJohnson余核に現れることの別証明や,$[1^k]$に付随するSp既約表現が$k \equiv 1$ mod $4$のときにJohnson余核に重複度1で現れることを示した.これまで,写像類群のJohnson余核を体系的に調べる手立ては森田トレースしかなく,今回我々が確立した方法はこの一般化であり,今後多くの研究が進むことが期待される.
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Research Products
(8 results)