Research Abstract |
平成21年度は,微分方程式の解のなす普遍複体を構成する前段階として,特異点論からの応用が顕著なクレロー型の一階常微分方程式の普遍複体の構成を目標とした.しかし,一階常微分方程式を一階ジェット空間の超曲面ととらえ,その解をそれ上の曲線ととらえたときの解の間に同値関係を定義するのが困難だった.そのため,クレロー型微分方程式の積分図式の分類が発散図式L^1←M^2→N^2の分類を使って行われることに注目し,発散図式L←M→Nの普遍複体の構成をめざした. 発散図式についてはArnold,Doufour,黒川等により写像芽や多重写像芽の研究がなされ,高橋,佐治の研究により発散図式L^1←M^2→N^2の大域的な研究がなされたが,より一般的な状況についてはこれまでなされていないので,発散図式を大域的に研究するための理論を構成することはとても重要である. まず,写像のコボルダントと同様に,2つの発散図式の間のコボルダントを定義した.次に,発散図式L←M→NのLの各点に対してC^O同値を定義し,C^O同値の下で,LをStratifyしたとき,各集合が部分多様体になるかどうかを現在研究している.また,一階常微分方程式を一階ジェット空間の超曲面ととらえ,その解をそれ上の曲線と考えることに関連して,閉曲面間の安定写像で特異点集合の連結成分が一つのものに対してPignoni型の公式が得られた.この結果について研究集会と学会で講演を2件行った.また,資料集めや研究打ち合わせのため,2つの学会,6つの研究集会に参加した.
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